横浜M、10人一丸の逆転劇
横浜M2―1磐田―完全優勝の目は、限りなくゼロに近づいていった。同点のまま、ロスタイムに。そこでドラマがクライマックスを迎えた。
横浜MのGK下川が送ったロングボール。球は大きく弾んでゴール前へ。久保が打点の高いヘッドで相手DFに競り勝つ。ボールは磐田GKの頭上を越え、ゴールに吸い込まれた。守備側とすれば、ゴール前で球をバウンドさせないのが鉄則だ。久保は「普通なら弾ませないところ」と話した。
このプレーに両者の気持ちの差が表れていた。消極的な磐田に対し、何が何でも球に食らいつこうとした久保。ロスタイムに入る前、磐田には「このままなら自分たちが優勝」という情報が入っていた。柳下監督は「引き分けでいいということで硬くなり、足が動かなかった」と振り返った。
開始2分で先制され、さらに15分にGK榎本哲が退場処分を受けた。これ以上ないような逆境。それを全員がひたむきなプレーでカバーした。磐田よりも多くのチャンスを作り出し、倍近いシュートを放った。那須は「もう失うものはない。10人になって、逆にやってやろうと思った」。精神面でのたくましさがあった。
そして、ドラマには続きがあった。鹿島がロスタイムに追い付かれて年間王者の座が飛び込むという幕切れ。苦しい戦いだった分、感激も大きかった。岡田監督の下で精神力を身につけた横浜M。磐田・鹿島の2強時代へ劇的に終止符を打った。(大塚 貴司)
◆磐田・前田「消極的だった…」◆
引き分けていれば、優勝だった。「自分たちがつかんだものを守りきれなかった」と、磐田の中山は唇をかんだ。悔やまれるのは、2点目を奪いにいく積極性がなかったこと。開始早々に先制し、相手が1人少なくなったため、慎重にボールを回し過ぎた。「もうちょっと前線が動き出してくれれば」と田中が言えば、前田も「今思えば、消極的だった」。初のステージ優勝を飾った1997年以降、前、後期ともに優勝を逃したのは、2000年に続いて2度目。高原、藤田ら、主力が続々と抜けた穴は、やはりカバーしきれなかった。
名古屋ウェズレイが22点で得点王
<清水2−1名古屋>
名古屋FWウェズレイ(31)が初の得点王をつかみ取った。磐田のFWグラウが、同時刻に行われていた横浜戦の開始2分にゴール。一時は並ばれたが「他の会場の経過は知らなかったし、知りたくもなかったよ。もしグラウのゴールを知っていたら、緊張してゴールを挙げることができなかっただろう」と、情報をシャットアウトし、ゴールだけに集中した。
後半33分、MF藤本が上げたクロスを頭で合わせ、通算22ゴール。単独で得点王を決めた。「これで来シーズンに向けて、もっと得点を取りたくなったよ」。今季で契約が切れるが、残留は規定路線。名古屋史上初の得点王に輝いたエースの力が、リーグ制覇には欠かせない。